準大手ゼネコンとは
準大手ゼネコンは、スーパーゼネコン(鹿島建設,大林組,清水建設,大成建設,竹中工務店)と違って明確な定義はありませんが、一般的に売上高が3,000億円超のゼネコンのことを指します。
本記事では、以下の9社を準大手ゼネコンとして徹底比較していきます。
・長谷工コーポレーション
・前田建設工業
・フジタ
・戸田建設
・五洋建設
・三井住友建設
・熊谷組
・安藤ハザマ
・西松建設
スーパーゼネコンについてはこちらを参考にしてください!↓↓
一括比較
準大手各社と、スーパーゼネコン平均も併せて比較してみます。
売り上げ (2023年) | 平均年収 (2023年) | 平均 勤続年数 | 社員数 | 初任給 修士了 | 初任給 学部卒 | 本社地 | |
スーパーゼネコン 平均 | 1兆8,654億円 | 1,034.2万円 | 17.5年 | 9,805人 | 28.5~30.0 万円 | 26.5~28.0 万円 | ー |
長谷工 | 1兆272億円 | 941.9万円 | 16.8年 | 3,205人 | 32万円 | 30万円 | 浜松町 |
前田建設工業 | 6,829億円 | 967.1万円 | 14.8年 | 3,277人 | 28.0万円 | 26.0万円 | 飯田橋 |
フジタ | 5,808億円 | 911.0万円 | 14.7年 | 3,443人 | 27.0万円 | 25.0万円 | 代々木 |
戸田建設 | 5,471億円 | 835.4万円 | 18.0年 | 4,215人 | 27.1万円 | 25.1万円 | 八丁堀 |
五洋建設 | 5,022億円 (2022年) | 885.0万円 | 17.1年 | 4,943人 | 27.0万円 | 25.0万円 | 飯田橋 |
三井住友建設 | 4,586億円 (2022年) | 881.2万円 | 20.8年 | 4,807人 | 26.5万円 | 25.0万円 | 月島 |
熊谷組 | 4,035億円 (2022年) | 845.9万円 | 19.0年 | 2,635人 | 27.0万円 | 25.0万円 | 飯田橋 |
安藤ハザマ | 3,721億円 | 882.4万円 | 17.6年 | 3,283人 | 28.5万円 | 26.5万円 | 汐留 |
西松建設 | 3,397億円 | 861.7万円 | 18.3年 | 2,804人 | 28.5万円 | 26.5万円 | 虎ノ門 |
どうでしょうか、売上高がスーパーゼネコンの半分程度であるのに対し、平均年収は意外と高いですよね!?売上高に対して平均年収が非常に高水準であることがわかります。
売上については、長谷工がスーパーゼネコンに迫る勢いです。売り上げの高い長谷工と前田建設工業の上位2社が平均年収も高く、こちらもスーパーゼネコンと遜色ない額という結果になっています。
初任給については、安藤ハザマと西松建設がスーパーゼネコンと同水準です。若手の間はかなりの高収入が見込めそうです。
※2024年3月追記
長谷工コーポレーションは2024年度の初任給を、修士了で32万円、学部卒で30万円、とスーパーゼネコンを上回る額へ引き上げることを発表しています。
勤続年数については、三井住友建設と熊谷組が19年超とスーパーゼネコン平均を越えており、2社が非常に居心地のよい会社であることが推測されますね!
また、前田建設工業、五洋建設、熊谷組の3社が飯田橋に本社を構えており、建設業のひしめき合う地域であることが分かります(笑)
各社の特徴
長谷工コーポレーション
特徴
・「マンションのことなら長谷工」のCMで圧倒的知名度を誇る
・売上高は準大手でナンバー1であり、スーパーゼネコンに迫る勢い
・平均年収941万円で準大手中2位の高さ
・スーパーゼネコンに劣らない技術研究所を有し、技術開発に力を入れている
・用地の取得から施工、管理、リフォームまで一貫して行うのが特徴的
・長谷工版BIMと称し、設計施工で使用した後、販売時にもすぐに使用できる独自のBIM技術を活用している
得意分野
やはり住宅分野が強く、大手ディベロッパーの高級住宅ブランドも手掛けている。マンションに関しては設計・施工比率100%である。
代表作品
・SHINTO CITY(2021)
・プラウドタワー名古屋錦(2022)
・ブランズタワー芝浦(2021)
・The Kitahama(2009)
・品川シーサイドレジデンス(2007)
前田建設工業
特徴
・インフロニアホールディングスが持株会社、同社は2024年1月、日本風力開発株式会社を子会社化している
・平均年収は967万円と、準大手中第1位で、大成建設、清水建設とほぼ同等な水準
・売り上げは準大手中第2位
・「脱請負」を掲げ、PPP/PFI事業に力を入れており、高速道路や体育館の運営事業も行っている
得意分野
ダム・トンネルといった土木に強い。近年は、観光地としても有名な秋田県の八峰風力発電事業など、再生可能エネルギー事業にも力を入れている。
代表作品
・天神ビジネスセンター(2021)
・星野リゾート界ポロト(2021)
・八峰風力発電(2019)
・Z1 COMMERCIAL-SERVICE-APARTMENT COMPLEX(ベトナム、2019)
・飯田橋サクラパーク(2015)
フジタ
特徴
・大和ハウスが親会社
・技術開発にも力を入れており、特許出願数は、スーパーゼネコンに次ぐ第6位でもちろん準大手中1位
・ボリビアでの道路整備はホットな実績で、海外でも知名度は高い
得意分野
「海外事業」「都市再生」「環境」「総合力」の4つを強みとして掲げている。建築事業としては、物流倉庫の実績が非常に多く、次いで集合住宅や病院に強みを持つ。
代表作品
・北大阪急行線延伸事業
・埼玉石心会病院(2017)
・仙台宮城野ビル(2020)
・横浜武道館(2020)
・ボリビア多民族国オキナワ道路整備計画(2023)
戸田建設
特徴
・横浜みなとみらいの三日月形のホテルが有名
・広瀬アリスさんを起用した広報活動をしている
・環境事業にいち早く取り組んできた
・設計部は数々の賞を受賞しており、設計事務所としても日本有数
・建築事業の売り上げが7割超と、他のゼネコンと一線を画す
得意分野
売上の7割超を占める建築事業は、特に学校や病院といった福祉施設の実績が多い。また、TOKYO TORCH常盤橋タワーなど超高層の大規模商業施設もこなし、スーパーゼネコンと競合するようなPJを手掛けることも多い。
代表作品
・グランクロスタワー広島(2017)
・パシフィコ横浜・ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル(1991)
・NAKANO CENTRAL PARK east(2012)
・名古屋ゼロゲート(2014)
・TOKYO TORCH 常盤橋タワー(2021)
五洋建設
特徴
・海洋ゼネコン、マリコンとして有名であり、そのジャンルではトップ企業である
・2020年には、単体土木事業の売上がスーパーゼネコン各社を抜いて2位となった
・海洋土木に関してはスエズ運河など海外の大規模PJも担っており、世界的企業である
・社員数は準大手ゼネコン中最も多く、約5,000人
得意分野
海洋建築、洋上風力関連など、いわゆる海洋土木が得意。
代表作品
・多摩川スカイブリッジ(2022)
・東京国際クルーズターミナル(2022)
・ヒルトン広島(2023)
・スエズ運河拡幅増深工事(1980)
・エスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイ(シンガポール,2002)
三井住友建設
特徴
・三井建設と住友建設の経営統合により誕生
・三井グループ・住友グループに属しており、マンション建替え事業と関わりの深い不動産、金融各社との繋がりが強い
・上記グループによる受注が20%を占めている。
・住友不動産関連のPJが多く、タワーマンションも手掛ける
得意分野
PC(プレストレストコンクリート)を用いた橋梁の実績が多く、多くの賞を受賞している。建築事業では超高層の住宅の実績が多い。超高層住宅においては、スクライム工法と呼ばれる、現場打ちコンクリートを用いないオールプレキャストの工法により短期間で施工できることが強み。
代表作品
・東雲キャナルコート(2003)
・聖蹟桜ヶ丘プロジェクトA敷地(2022)
・Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE(2017)
・tette 須賀川市民交流センター(2018)
・海老名駅間コンビニエンスストア建設工事(木造のコンビニ,2017)
熊谷組
特徴
・川口春奈さんを起用した広報活動をしている
・「トンネルの熊さん」と呼ばれるほど大型土木工事の実績が豊富
得意分野
やはり難易度の高い土木工事(特にトンネル等)が強み。青函トンネルやリニア中央新幹線の工事にも関わっている。建築分野では、TAIPEI101を始めとした国内外のシンボリックな超高層ビルが非常に有名。
代表作品
・新宿野村ビル(1978)
・TAIPEI 101(台湾,2004)
・アパホテル&リゾート東京ベイ幕張(1993)
・中国銀行香港支店ビル(香港,1990)
・せんだいメディアテーク(2000)
安藤ハザマ
特徴
・初任給が26.5万円(修士了は28.5万円)と準大手中1位
・2013年に安藤建設とハザマが合併してできたゼネコン
・不動産取引の事業も行っている
得意分野
医療、商業、倉庫工場、等どのジャンルもバランスよく手がけており、公共、民間のバランスも良い。建築の規模は比較的大きく、マレーシアのペトロナスツインタワーは当時の最高峰の高さである。
代表作品
・東京ビッグサイト(1995)
・ペトロナスツインタワー(マレーシア,1997)
・ららぽーと富士見(2015)
・品川リハビリテーションパーク(2018)
・早稲田中学校・高等学校3号館(2023)
西松建設
特徴
・細田佳央太さんを起用して広報活動をしている
・初任給が26.5万円(修士了は28.5万円)と準大手中1位
・虎ノ門ヒルズ内にオフィスがある
・住友不動産からの発注が多い
・産学連携でサンゴ養殖PJを手掛けている
得意分野
公共工事(特にトンネル工事)や、都市開発事業の実績が多い。
代表作品
・横浜湘南道路トンネル工事
・羽田エアポートガーデン(2020)
・恵比寿ファーストスクエア(2014)
・学校法人常翔学園梅田キャンパス(2016)
・京都松竹阪井座ビル(2018)
最後に
準大手ゼネコンは各社とも社会への影響力の大きい事業を手掛けてきました。待遇に関しても、スーパーゼネコンに迫る勢いであることもわかっていただけたと思います。
なぜ会社として規模は劣るのに好待遇なのか、それはズバリ、「市場が違うから」です。
企業規模からして対象とするPJがスーパーゼネコンとは異なるため、スーパーゼネコンと準大手ゼネコンは互いに競合しません。そのため、各社特徴的な強みを活かして売上、利益をあげていけるのです。
そういった建設業独特の特長を踏まえると、ますます”穴場”感が湧いてきますね!
みなさんの就活の一助になれば幸いです。
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