建築の設計という仕事は、設計事務所だけではなくいろいろな会社で行うことができます。
組織設計事務所、ゼネコンの設計部、デベロッパーの設計部、この違いを理解しないで就活、就職をするのは非常に危険です!!
あなたがしたい設計はどんな設計なのか、どの会社が適しているのかをしっかり把握しましょう!
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設計=設計事務所 ではない
設計事務所とは、都道府県知事により登録された法人(建築士事務所)のことをいい、法人名に「建築士事務所」「設計事務所」と入っているかどうかはあまり重要ではありません。
いわゆる○○設計事務所、〇〇建築事務所という法人だけでなく、〇〇建設や〇〇工務店、〇〇不動産といった法人も、知事に登録されていれば建築士事務所なのです。
違い①:立場
立場で違いを大まかに分けるとすると、デべ設計部⇔組織設計&ゼネコン設計部となります。
デべロッパーは、持っている土地を活かして様々な事業を行いますが、設計部隊や施工部隊を持っていないことが多いです。そこで、設計事務所やゼネコンに設計と工事を発注するのが一般的ですが、大手のデベロッパーは社内に設計部を構えている場合も多いです。これがデべの設計部で、建築主、いわゆるお客さん側として設計を行うのです。
一方で、組織設計・ゼネコンの設計部は上述のようなデベロッパーやその他あらゆる個人・法人から設計業務を請け負います。会社によっては、組織設計・ゼネコンが自社で持っている土地を活かすなどして建築主の立場として設計することもありますがそう多くはありません。基本的には請け負うかたちで設計をするのです。
この立場の違いは、設計の自由さや幅広さに影響してきます。お金を出して仕事を依頼する建築主の方が立場上強くなりがちです。デべ設計部は、事業で稼いでいくにはどうするか、組織設計やゼネコン設計部は建築主の要望に応えるにはどうするか、という考えをメインとして設計していくこととなります。
違い②:設計フェーズ
建築事業は大きく5つのプロセスに分けられますが、以下のような分担となることが多いです。
・デべ設計部
➀企画 ⑤運営・管理
・組織設計
②基本設計
・ゼネコン設計部
③実施設計 ④施工
※このような分担が多いだけで、もちろんゼネコンが➀企画から全て行うなど各社その他のフェーズを担当することもあります。
建築事業のプロセスについて以下を参考ください。
➀企画:いわゆる構想段階。市場動向や収益性を考慮しながらコンセプトや建物の外観等のイメージや規模、建物のグレードやスペックを決定する。
②基本設計:構造計画、設備計画、法規等、技術的な側面も考慮する。構造体のサイズや内部レイアウトを決めていき、大まかな精度の図面として基本設計図面をまとめる。
③実施設計:施工できるレベルまでさらに詳細なところまで調整していく。建材のサイズや仕上げ、設備の仕様、備え付け家具やミリ単位の柱梁の寸法、まで全てを決めていき、実際に施工できるレベルの図面として図面をまとめていく。
④施工:実際に施工を行う。ゼネコンのメインの事業である。
⑤運営・管理:完成した建物を建築主に渡し、事業計画通りに運営していく。
違い③:設計の自由さ
自由度は、デべ設計部≧組織設計>ゼネコン設計部 というイメージです。
デべ設計部はお客さんとしての立場ですので、用途、規模、建物構成など基本的なところから決めていきます。協業の設計事務所(②基本設計や③実施設計から担当)がある場合は、こういう設計にしてほしいと要望を伝えることができます。自社のお金を使って事業を行うということが自由であることの何よりの理由です。
組織設計は、文字通り設計の会社です。設計が主力の会社であるため、大袈裟に言えば設計だけに集中して取り組むことができます。施工のことはゼネコンに任せればよいためです。デべロッパーなどの建築主からの要望はありますが、それに沿っていれば比較的自由に設計を行うことができます。実際、組織設計事務所が関わった建築は奇抜なデザインや形態の建築、話題性のある建築が多いです。
ゼネコン設計部は、主力が施工であるという点が特徴的です。ゼネコンの売上は設計より施工が高く、施工でお金を稼いでいるようなイメージなため、社内で施工側の立場が強いことが多く、簡単に述べると「施工しやすいような設計」をする必要があります。そういった施工的な制約はありますが、一方で設計の早い段階で施工の面での調整を行えるため、実際に施工段階に入った時の手戻りが少なく、事業として効率的に設計をすることができます。近年、この設計施工一貫を謳っているゼネコンは増えてきていますし、設計施工一貫を前提として発注(デザインビルド)する建築主も増えてきています。
+α:働き方と待遇
働き方や待遇は同じ建設業界といえど大きく変わってきます。詳細は以下をご参考ください。
最後に(こんな人におすすめ)
デべ設計部は、建築を活用して何ができるか、建築を活用してどう事業を進めていくか、といった事業の上流で大きな金額を動かしながら建築を考えたい方におすすめです。
組織設計は、施工のことや事業性収益性はあまり考えずに自由に設計をし、建築の中でも設計という業務に特化したプロフェッショナルになりたいという方におすすめです。
ゼネコン設計部は、施工のことも考慮し、細かい納まりまで詳細に考えて、モノづくりの観点で建築の総合的なプロフェッショナルを目指したい方におすすめです。
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