学生なら独学でいけ!勉強方法とオススメの教材【一級建築士(学科)】

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学生なら独学でいけ! 一級建築士

一級建築士の受験を考えている学生のみなさん、こんにちは。

一級建築士の勉強をしようとしているけど、独学でいけるのか資格学校に行った方がいいのかわからない方はとても多いと思います。
特に修士2年生なんかは、内定先企業から一級建築士の勉強をするよう強く言われることも珍しくないいです。

まず最初に申し上げますが、時間のある学生の皆さんなら学科試験は独学で合格できます。資格学校に通う必要はありません。

実際に私が大学院生の時の令和3年度(合格点87点)に独学で合格(99点)した勉強方法とオススメの教材をお教えします!

大学院生の方はこちらも参考にしてください^^

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なぜ独学か

学科試験はほぼ全て暗記問題

まず大前提として一級建築士の学科試験は、どれだけ難しい問題やひねった問題があろうと、ほとんど全てが暗記問題です。
なので、今までの大学受験や資格試験の勉強の経験を活かしてご自身にあった暗記方法を実践していけば問題ありません。

もちろん、資格学校に通っても行うことはひたすらの暗記です。

作図やエスキスのテクニック、他人の考え方を吸収したりするのが重要な設計製図とは違って、
学科は時間をしっかりかけて自分の方法でただひたすらに暗記を進めていけばいいのです。

(一部単なる暗記ではない問題もありますが、それについては後述。)

学生は圧倒的に時間がある

ほぼ全てが暗記ですが、もちろん暗記量は尋常ではありません。
一級建築士学科試験に必要な勉強時間は約1000時間と言われています。

そこで、仕事が忙しくどうしても勉強時間を十分に確保できない社会人の方々の多くは資格学校に通い、
効率的かつ的確な優先順位で勉強をするのです。

ですがみなさん学生は圧倒的に時間があるうえ、時間の融通の利きやすさも圧倒的です。

ただでさえ普段の勉強時間を多く確保できるのに、

・「先週は研究良い感じに進んだから今週は学科の勉強を多めにやろう」
・「ちょっと息抜きに1時間だけ学科の勉強やろう」
・「本番直前の1週間はバイト休んで学科の勉強に集中しよう」

といった細かい融通も利くので、とても恵まれた環境と言えるでしょう。

これほど恵まれた環境にいる学生のみなさんにとって、
資格学校に通うメリットは、ないとは言いませんがとても小さいというのが私の意見です。

インターネットが十分すぎるほど充実している

これは学生だからという理由ではありませんが、
正直、学科は資格学校に通わなくていい理由はこれが一番大きいのかもしれません。

今はとても恵まれた時代で、勉強のノウハウがインターネット上に溢れています。

暗記しづらい項目や、理解が難しく暗記が全く進まない項目など、独学で解決しにくい点は、インターネットで検索すればすぐに解決します。

私が実際に活用したものを、下記に挙げておきます。

井澤式比較暗記法
おそらくほとんどの受験生が知っているであろうブログです。
混乱しがちな内容を”比較“することでわかりやすくまとめてくれています。
また、苦手となりやすい学科Ⅰ「計画」の実例についても写真付きでまとめられています。
内容が充実しすぎていて量が多いので、直前にまとめて見るのではなくご自身のテキスト勉強と同時並行で見るようにするとよいでしょう。

建築士みつきさんのyoutube
他のyoutubeとは違って音声だけで学習できる点が特徴的です。
動画の長さも1つ10分程であるため、短時間に効率的に復習できます。個人的には2倍速再生が超おススメです。
内容は過去問の一問一答で、解説付きです。
こちらも、ご自身の勉強と並行して見るようにしましょう。

建築士試験マニア/はまちゃんさんのyoutube

こちらは毎日の復習のために見るというよりは、疑問点を解決するために利用していました。
テキストだけでは理解できないときは、こちらを参考にしましょう。

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科目ごとの勉強方法

Ⅰ.計画

他の科目に比べて取り組みやすいのが特徴ですが、実例問題のみとても厄介です。

出題内容の項目は大まかに以下の通りです。

  • 建築士の職責
  • 各施設(学校、商業施設、医療施設、etc.)についての設計手法、各種寸法等
  • 建築積算
  • 都市計画
  • 建築史
  • 建築作品

各用語や、寸法などの”数字”も含め、基本的には暗記です。
設計手法についても、設計における考え方を理解すればよく、理解に難しいものはないのですらすらと頭に入ってくると思います。

ですが、実例問題(「建築史」と「建築作品」)は例外です。
実例問題とは、実際に存在する(又は過去に存在した)建築物について特徴や設計者、思想を問う問題です。

実物に関する問題なのだからイメージしやすく対策しやすいのではないかと思う方も多いですが、
存在するある程度有名な建築物すべてが対象となるので、完璧にしようとするととてつもなく時間がかかります。
また、量が多いが故、1つ1つの暗記が単純作業の繰り返しとなってしまい、非常に取り組みづらいのです。

かといって実例問題を捨てることはできません。近年では20問中5~7問ほど出題されるため、足切り(11点)を考えるとかなり危ないです。

対策にあたって、以下の事を意識するようにしましょう。

〇実例問題
・他の勉強より早めにコツコツ取り組んでおく。(量が多く、理解は不要なため)
・過去問で出題された内容から優先的に勉強する。(過去問からの繰り返しの出題も多いため)

〇その他
・寸法などは身の回りのものとリンクさせて覚える(自分の家のキッチンの高さは何センチなのか等)
・新規出題も多いため、建築に関わる話題やキーワードについて常に幅広く興味をもっておく。

「計画」の独学オススメ教材は次の通りです。


大脇さんのヴィジュアルで要点整理シリーズです。
暗記となるとどうしても文字だけを無理やり暗記しようとしがちですが、
このシリーズは図や写真が豊富で、内容をヴィジュアルで理解、暗記できます。
“建築”という実物実現象を扱う以上、リアルなイメージをもつことは非常に重要です。

また、単元ごとに演習問題(過去問)も掲載されており、都度定着の確認をすることができます。

井澤式実例暗記法
とても時間のかかる実例問題について、写真付きでジャンルごとにまとめられています。
全て網羅できれば、十分すぎるかもしれないぐらいです。

Ⅱ.環境・設備

出題内容の項目は大まかに以下の通りです。

  • 環境工学(光、換気、熱、音、等)
  • 建築設備(空調、給排水・衛生、電気、省エネ、等)

同様に基本的には暗記で、特殊な対策は不要です。素直な出題が比較的多いです。

次のようなことを意識しておくとよいでしょう。

・ただ暗記するのではなく、各現象をイメージできるようにする
・身の回りのものとリンクさせながら覚える(自分のオフィスの空調はどういう方式なんだろう、等)

「環境・設備」の独学オススメ教材はこちらです。

「計画」と同様におススメです。ヴィジュアルで理解、暗記できます。

Ⅲ.法規

出題内容の項目は大まかに以下の通りです。

  • 建築基準法
  • その他法令

法規は科目自体がとても特殊で、法令集の持ち込みが認められています。
全て暗記して法令集なしで挑むのは確実に不可能なことで、「どれだけ暗記できたか」よりも「法令集で該当条文をいかに早く引けるか」がポイントとなってきます。

対策にあたって、以下の事を意識するようにしましょう。

・簡単な項目は暗記してしまう(法令集を引く手間を最低限省ける)
・早い段階で法令集の線引きを行い、独特な文章や言い回しに慣れておき、どこに何が書いてあるかをふわっとイメージできるようにもしておく
法改正はよく行われるので、過去問での内容が最新の法令に適合しているか気にするようにする
法規の科目は得点源であることを認識しておく
・単なる暗記ではなくテクニックや慣れの要素が強いので、他の科目に比べて得点源として安定しやすい→めに取り組んでおく!!

「法規」の独学オススメ教材は次の通りです。

15年分以上の過去が一問一答形式で掲載されており、全ての問題について解答解説、法令集の該当箇所及び法令集の線引きが載っています。理想が詰まった最強の教材です。

実際の私の「法規のウラ指導」の使用例を示します。

  1. 法令集への線引き
    「法規のウラ指導」の線引き例を参考に。
    (この段階では問題を解くことはせず、文章に慣れ、法令集の大まかな構成を把握する。作業と割り切って進めていく。)
  2. 実際に問題を解き始める
    1.が一通り終わったら、2週目は問題を解いてみる。「法規のウラ指導」は単元ごとにまとまっていて理解が定着しやすい。いきなり年度ごとの過去問を解くのはオススメしない。
  3. 実戦形式として、年度ごとや模試を解いてみる
    試験として時間も意識しながら取り組む。段々と苦手な単元がわかってくるので、その都度「法規のウラ指導」を使って苦手単元を潰していく。
    以降はひたすら3.を行う。

なお、法令は頻繁に改正されますので、この本も頻繁に改訂版が出版されます。自分の受験年度を確認して最新版を購入するようにしましょう。

Ⅳ.構造

出題内容の項目は大まかに以下の通りです。

  • 構造力学(計算問題)
  • 各種構造(木、RC、S、SRC、基礎、等)
  • 各種材料(木、コンクリート、金属)

各種構造、材料については暗記です。出題も過去問からの繰り返し出題が多く、ひねりのないシンプルな出題が多いです。
単語1つ1つが馴染みなく暗記しにくいので、都度調べるようにしましょう。

一方で構造力学の問題はとても差がつきやすい問題です。公式等の暗記要素もありますが、しっかり本質を理解していないと得点には繋がりません。
また、力学の計算問題は30問中6~7問出題されるため、計画の実例問題と同様に捨て問とするのは足きりが非常に怖いです。

対策に当たって以下の事を意識するようにしましょう。

・力学の計算問題は苦手になりやすいので、早めに基礎からしっかり取り組んでおく
・その他の暗記問題で、どうしても理解できない問題はそのまま暗記するのも1つの手(ひねりのない繰り返し出題も多いため)

「構造」の独学オススメ教材は次の通りです。

植村さんのツボシリーズです。
他にも環境、法規のツボがありますが、特に構造系がオススメです。

「構造力学のツボ」は力学の計算問題に集中したテキストで、単元ごとに解説と演習問題(過去問)があります。「暗記するべきところは割り切って暗記!」というような内容で、苦手になりがちな力学の計算問題を変に難しく考えることなく習得できます。かといって無理やりの暗記なのかというとそうでもなく、最低限の説明や解説が盛り込まれています。
私の周りは皆これを使っていて、かなり評判がよかったので使っていました。

「構造設計のツボ」は、力学の計算問題以外についてのテキストです。それならばヴィジュアルで要点整理シリーズでよいのではないかと思うかもしれませんが、「構造力学のツボ」があまりにもよかったので構造だけはツボシリーズに揃えてみようと思って使っていました。
正直内容自体は他の著者のテキストと大きな違いはないと思いますが、「構造力学のツボ」を使っている以上、同じ著者で揃えたほうがいいという印象です。文章の癖や表現方法などが一貫しているほうがスラっと頭に入ってきます。

「特訓ドリル」は、演習量を補うためのものです。補うだけなら過去問をやればいいのですが、苦手な方にとっては同じ著者の解説がついているテキストの方がわかりやすいです。
「特訓ドリル」の力学の計算問題だけやる、など苦手分野のみ取り組むという使い方もよいでしょう。

Ⅴ.施工

出題内容の項目は大まかに以下の通りです。

  • 請負契約
  • 施工計画
  • 工程管理
  • 工事管理(申請及び届出、材料管理方法、等)
  • 各種工事(基礎工事、鉄筋工事、等)

やはり同様に全て暗記です。

ですが、環境・設備と同様に、イメージできるようにしておくことでより暗記が捗ります。
構造と同様に単語1つ1つが難しいので、都度調べるようにしましょう。

・工事をイメージできるようにする。
・街を歩くときに工事現場を見て、暗記した内容の確認をしてみる

「施工」の独学オススメ教材は次の通りです。

施工は他の科目に比べて、特に文字でイメージしづらい科目です。
読み方がわからない単語も多いです。
工法や接合方法などなど、文字だけでは到底イメージできませんし暗記も捗りません。
繰返しになりますが、 “建築”という実物実現象を扱う以上、リアルなイメージをもつことは非常に重要です。

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勉強スケジュール

それでは、学生が独学で勉強する場合の目安のスケジュールを紹介します。
大きな流れとしては、特殊な対策が必要なクセのあるものは早めに、一般的な暗記はその後、という流れです。

現在修士2年で翌4月から入社する方は、4~7月の期間は学生に比べて勉強時間を確保できないので、その分1か月ほど前倒しにして考えてもよいでしょう。

勉強スケジュール
  • 11月,12月~
    特殊な対策が必要なものから取り組む

    「計画」実例問題
    実例問題は、事前知識がなくても勉強できる項目ですし、量が多いので早めからコツコツ息抜きと思って取り組みましょう。3月頃までゆっくり時間をかけて進めていってもよいです。ただし、復習はもちろんしてくださいね。

    「法規」法令集の線引き
    先ほど紹介した「法規のウラ指導」は、近年は12月頃に改訂版が出版されますので、それに合わせて始めてもよいでしょう。この線引きは単純に時間を要しますので、作業と割り切ってどんどん進めていきましょう。深い理解は後回しです。

    「構造」力学の計算問題
    力学は問題数も多いので確実に得点できるようにしたいです。苦手意識のある方は、このくらい早い時期から「構造力学のツボ」を使って基礎を固めておきましょう。まだこの段階では完璧に理解する必要はありません。

  • 1月~
    少しずつ暗記項目に取り組み始める

    この後4月頃に2周目を取り組む際に「じっくり取り組む内容」か「さらっと確認するだけの内容」かを意識しながら、進めていきましょう。
    私は付箋で3段階に色分けして理解度を視覚化していました。
    2周目の学習が効率的になります。

    「計画」
    テキストを使った学習を始めていきます。実例問題以外は誰もが取り組みやすい内容ですので、5科目の中で一番とっかかりやすいでしょう。
    実例問題は引き続きコツコツ進めていきます。

    「環境・設備」
    テキストを使った学習を始めていきます。

    「法規」
    11月,12月に始めた法令集の線引きが1月中に終わると理想的です。(私は2月中旬ぐらいまでかかってしまいましたが。)
    線引きが終わったら、先ほど紹介した「2.実際に問題を解き始める」に移行します。ここからは1つ1つ理解をしながら進めていくので、時間はかかると思いますが、時間をかけていい段階ですので、焦らずに進めていきましょう。4月中に終わると順調です。

    「構造」
    11月,12月に始めた力学については、「全く理解できない」項目がなくなっていればよいかと思います。特に苦手な方は、力学のみ1月中にテキストが1通り終わっているとよいペースです。
    力学以外については、この段階からテキストを使った学習を始めていきます。

    「施工」
    テキストを使った学習を始めていきます。
    計画、環境・設備に比べて量が圧倒的に多い(本試験の配点も高い)ので、勉強の時間配分には気を付けましょう。

  • 2月~3月
    各テキストを1周終える

    春休みの旅行などで勉強時間が取れない日がたまにあったりするような時期ですが、1月に始めた各テキストの全内容が、遅くても3月中には1通り終わっているとよいです。2か月以上もありますが、油断していると普通に終わらない量ですので計画的に進めていきましょう。

    なお、「法規」の 「2.実際に問題を解き始める」 は4月中に終わると順調です。

  • ~4月
    各テキストの2周目を終える(苦手項目のみ等でもOK)

    3月までに終えた感触や付箋等を基に、じっくり取り組む内容とサラッと確認する内容を意識しながら進めていきます。
    「法規」の 「2.実際に問題を解き始める」 はこの4月中に終わっていると順調です。

  • 5月~6月
    過去問を年度ごとに解く&苦手を見つけてテキストで確認の繰り返し

    暗記もある程度定着してきて、問題を解くこと自体にも慣れてきた頃です。そろそろ、試験を意識した学習を始めていきます。
    また、「法規」も同様に先ほどの「3.実戦形式として、年度ごとや模試を解いてみる」に進みます。「法規」は特に時間を意識するようにしましょう。

    現状の到達度、あと何点足りないか、目標点に到達するためにはどの科目のどの項目で何点あげればよいか、等を整理し、戦略的に取り組みます。

  • 7月(本番)
    これまでの苦手、間違えた項目の再確認

    直前記です。復習が最優先です。下手にこのタイミングで新しい模試の問題を解く等しないでください。
    各予備校の予想問題はあくまでも予想でしかありません。予想問題から出題されるより、過去問から繰り返し出題される可能性の方が確実に高いです!

意外と、半年でいけるんです。(笑)

また、他のサイト等を参考にするともっと早くから過去問に取り組むよう勧めていることも多いかと覆います。しかしそれはあくまでも社会人の方々に向けてものです。
まとまった時間の取れない社会人の方々は、一級建築士の学科試験が過去問からの出題がとても多いという特徴を活かして、とりあえず過去問にぶつかってイタチごっこのように1つずつ暗記していくことで効率よく勉強をします。一方で学生のみなさんは、テキスト等で幅広くしっかり暗記をしてから実践に取り組むことで、少しひねった問題にも対応できる安定した実力を備えることができます。

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最後に

時間があるという最強の武器を持っている学生のみなさん、是非独学で学科試験に挑戦してみてくださいね!

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