建築学生に圧倒的人気を誇る企業といえばやはりゼネコンですが、広い意味での同じ建設業界の中で、あまり知られていないプラントエンジニアリング業界というニッチな業界があります。これが実は超オススメなんです!
本記事では「建築学生になぜプラントエンジニアリング業界がオススメなのか」を、ゼネコンと比較しながら紹介していきます!
スーパーゼネコンについて詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください^^
プラントエンジニアリング業界とは
そもそも「プラントエンジニアリングって何?」という方が多いと思います。それほどあまり認知されていない業界なのです。。。
プラントエンジニアリングとは、プラント(plant:工場・設備)の設計や管理を行うことを指します。
↓↓ プラントはこんなイメージです。↓↓パイプと鉄骨が入り乱れたようなこのイメージです!
単に設計とは言っても建築的な設計だけではなく、土木、化学、電気、機械的な設計も含み、建築以外のいろいろな専門分野の人々が協働する点が特徴的です。
ゼネコンの中にもプラントエンジニアリングの職がよくありますが、それに比べると規模が大きく、特化しているようなイメージです。
また、プラントエンジニアリング業界では、設計(Engineering)・調達(Procurement)・建設(Construction)を全て担う事業のことを、頭文字をとってEPC事業と言い、ほとんどの企業がこれを掲げています。
一方で大手ゼネコンでも設計、調達、建設を全て担いますが、こちらではEPC事業という言葉を聞きません。この業界特有の呼び方なのでしょう。
プラントエンジニアリング業界における建築職
プラントエンジ業界では、建築系人材はどのように働くのでしょうか。また、ゼネコンとどう違うのかみていきましょう。
ゼネコンと同様に建築の設計部署がある
基本的に、建築の大きな括りでの部署があり、その中で施工管理及び設計の部署がそれぞれで存在します。
設計の部署については、企業によって建築設計、構造設計、設備設計がわかれているところと、設計としてまとめられているところがあります。
その他、建築という括りの外に鋼構造専門の部署がある企業もあり、そちらでも建築系人材は活躍できます。
建築系の人員は少ない
少し残念ではありますが、ゼネコンのようにビル等の建物をメインに扱っているのではなく先ほどの画像のようなプラントをメインに扱っているため、建築系の人材は少なく、化学や機械系の人材が圧倒的に多いです。
建築の役割は、 プラント設備(大きい機械)そのものを支えること、格納すること、 管理室などの建物を作ることですので、やはり化学、機械系の人材が中心と考えてよいでしょう。
建屋のあるプラントは建築の花形
一方で、建築系人材が中心となるプラントもあります。それは、次の画像のような建屋のあるプラントです。主にゴミ焼却場や研究施設、病院等です。
これらは先ほどのパイプ剥き出しのプラントとは違って屋根、壁でしっかり囲まれた建築物ですから、もちろん建築系人材が中心となります。
「屋根、壁に囲まれた建築物であればゼネコンとか組織設計事務所もやってるんじゃないの?」と疑問を持った方。もちろん彼らも手掛けることはありますが、ゴミ焼却場は焼却炉という大きくて複雑なプラント設備がありますし、病院や研究施設では危険物を扱ったり清浄度が求められるクリーンルームを設けることがあるため、広い意味での”プラント”に特化したプラントエンジ企業の方が圧倒的に強いし実績もあります。
なぜゼネコンよりエンジ業界か?
海外事業に強い
プラントエンジ業界での大きな事業として、エネルギープラントやガス貯蔵プラント、橋梁などがあります。しかしこれらは国内には既にある程度整っているため、新設では海外がメインになります。(国内は保守・管理がメインです)
売り上げの海外比率も、スーパーゼネコンが20%代程なのに対して、プラントエンジ企業は80%程にもなります。
また、海外で様々な事業を展開していくことから、”総合商社の理系版“なんて言われたりもします。
海外勤務者の数は多く、例えば日揮グローバル株式会社では、全社員の三分の一が出張や駐在等で海外にいる、と言われております。
ジャンルは違うが、国を巻き込む大規模案件に関われる
ゼネコンを志望する学生の多くは、大規模なプロジェクトに携わりたいという想いを持っています。ですがこの夢はプラントエンジでもかなえられるのです!
プラントエンジニアリングの事業は、BtoCでもBtoBでもなく、BtoGと言ったりします。”G”はGovernment(政府)の頭文字ですから、世界中の国レベルでの事業に携わることができます。
新しいインフラやプラントの整備を発展途上国から請け負うというのは非常に多いのです。
ゼネコンが超高層ビルやスタジアム、タワーなど大規模案件を手掛けるのに対して、プラントエンジ企業は世界中のプラントを手掛けますし国規模なのでとんでもない額になったりします。
いずれにしても、ジャンルは違えど大規模で影響力の大きい案件に関わることができる点に変わりはありません!むしろ捉え方によってはこちらの方が大規模のようにも思えます!
幅広い専門の人と協働する
これはあくまでも建築側から見てのことです。
ゼネコンも幅広い専門の人がいますが、やはり建築・土木系がメインで、その他電気、機械系と文系は少数です。設計をする際に社内で関わるのは建築関係の人が多いです。
一方でプラントは、化学、電気、機械系がメインです。設計をする際には、一般建築以上に複雑なダクトや大量で大規模なプラント設備がありますので、化学、電気、機械系の人とも逐次コミュニケーションをとりながら進めていきます。
建築に限らず幅広い専門に触れながら仕事ができるダイナミズムが魅力的です。”総合的な理系人材“として成長できます!
残業が少なく労働環境がよい
公式に公開されている残業時間については、いろいろな部署の人や勤務形態の人が含まれていてその割合も企業によって異なるため、
建築の設計という仕事について考える時にその数字だけで比較するのはナンセンスであると考えています。
そのため、以下は私のOB訪問、インターンシップ、大学の同期の話が基になっています。
大前提として、建築関係の仕事は業務量が非常に多く残業がつきものだというのはある程度一般的なことだと思います。企業や時期によっては月の残業時間が100時間近くになることもあります。
ここで、単純に考えると、プラントエンジ業界で扱うのは”建築”というよりは”プラント”ですので、建築的な要素が少なく、
建築職の業務量はゼネコンや設計事務所に比べると少なくなります(業務を外注することも多いです)。その分化学系などの職種は忙しいのかもしれませんが。。。
残業は、遅くても19,20時頃までのところが多く、ゼネコンなどに比べると圧倒的に少ないです。
また、企業の体質としてゼネコンは歴史が深くドッシリと構えた大企業というイメージであるのに対して、プラントエンジはそこまで歴史が深くなく、今風の柔軟な企業というイメージです。
そのためプラントエンジの方が、テレワークや車通勤、私服出勤など新しい柔軟な働き方に積極的です。
年収はスーパーゼネコン並み
最後に生々しい話ですが、平均年収が1,000万円に迫る企業もあり、スーパーゼネコンと同水準であると言えます。詳しい年収額は後述します。
海外勤務者に対する手当が充実していることも高年収に繋がっているのでしょう。
海外勤務になると給与が倍近くになるといった声もちらほら。。
代表企業
日揮ホールディングス
プラントエンジニアリング業界の言わずと知れたトップ企業です。専業3社という括りの企業の1つであり、スーパーゼネコン5社がほぼ横並びなのに対して、日揮は専業3社の中でも抜きんでています。
2019年には、海外事業を行う「日揮グローバル株式会社」と国内事業を行う「日揮株式会社」に大きくわかれ、就活、入社の時点で海外か国内かを決めなければならない点も特徴的です。
・本社:神奈川県横浜市
・平均年収(2022):854万円(2021年は841万円)
・売上高(2022):4284.0億円
・得意分野:石油化学関連プラント
東洋エンジニアリング
専業3社の1企業です。海外売上比率が80%を超えており、その多くが石油化学関連です。
本社が唯一千葉県というのも特徴的です。
・本社:千葉県習志野市
・平均年収(2022):824.2万円(2021年は685万円)
・売上高(2022):2029.8億円
・得意分野:石油化学関連プラント
千代田化工建設
専業3社の1企業です。 アメリカのLNGプラントでの約1000億円のコスト増による損失等により、赤字が続いていましたが、大株主である三菱商事により救済され2023年には自己資本比率20%を目指しているとのことです。一方で、そのような中でも大規模なリストラ等は行われていません!
売り上げはLNG関連プラントが圧倒的に多く、50%を超えています。
・本社:神奈川県横浜市
・平均年収(2022):926万円(2021年は920万円)
・売上高(2022):3111.1億円
・得意分野:LNG関連プラント
JFEエンジニアリング
JFEホールディングスの傘下で、JFEスチール、JFE商事と兄弟会社です。専業3社ではありませんが、規模や影響力の大きい企業です。シンガポールのマリーナベイサンズの上の船の部分を手掛けたことでも有名ですね!
他社に比べてニッチな分野に強みを持っており、ゴミ焼却プラントを始めとする環境プラントには非常に強いです。
また、本社が横浜の中心地から離れているため車通勤が可能なのも特徴的です。
・本社:神奈川県横浜市
・平均年収(2022):959万円 (2021年は966万円)
・売上高(2022):-
・得意分野:環境プラント
日鉄エンジニアリング
日本製鉄のグループ会社で、元の名を”新日鉄住金エンジニアリング“といいます。同様に専業3社ではありませんが、規模や影響力の大きい企業です。
体育会系な雰囲気で、おっとりとした雰囲気のJFEエンジニアリングと社風で区別されることがよくあります。
・本社:神奈川県
・平均年収(2021):966万円 (2020年は1,096万円)
・売上高(2020):3,244億円
・得意分野: 環境・エネルギープラント、製鉄プラント
就活での注意点
選考スケジュール
基本的には、修士1年(学部3年)の夏からインターンシップが始まります。
インターン参加にも選考(ES,webテ,面接)がありますが、このインターンに参加できると本選考の早期選考に参加することができ、
明けた秋の10月頃からエントリー、webテスト、試験、や面接、そして12月中には内々定がでます。
これはスーパーゼネコンの設計職とほぼ同時期であり、プラントエンジ側がスーパーゼネコンを意識していると言えるでしょう。(プラントエンジを志望する学生はゼネコンを併願する学生が多いため)
私の経験では、スーパーゼネコン1社とプラントエンジ2社の最終面接が12月中旬の同じ週にあり、とても詰まっていて忙しかったのを覚えています。
早期選考にのれなくても秋冬インターンからの選考や3月解禁のタイミングでの選考でもうけることができますが、「枠が余っていれば」と考える程度にしておいた方がよいでしょう。
早期選考が圧倒的に有利です。逆に、早期選考で貰った内々定を保留したい場合は、次のクールの内々定者がでたらもう難しいかもよと言われます。(汗)
面接と試験
面接は、基本的には2,3回あり、各回とも研究内容のプレゼンを要します。
中盤の部長面接レベルになってくると、面接官が建築関係の研究内容についての専門だったりするので、ゼネコンを受ける時と同様のしっかりとした準備が必要になります。
webテストは、英語を使う機会が多いからなのか英語の問題が含まれているタイプの玉手箱形式が多い印象です。
筆記テストは、企業によっては課されます。内容は一級建築士の学科試験の問題程度もしくは、単語の説明(建築関係の専門用語について、どういう意味か説明する)問題です。
いずれにしても、建築学生としてプラントエンジを受ける場合、ゼネコンや組織設計事務所をうける場合と同様の対策で問題ありません。
むしろ、ゼネコンや組織設計の準備をしっかりしていれば試験等は難しくないと感じます。
ES対策
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研究室の先輩やOBOGに見せてもらえるかたがいればそれがよいのですが、建築系研究室でプラントエンジニアリング企業をうける方はなかなかいません。
また、同じ大学の先輩のESを参考にすると、どうしても内容を寄せてしまいがちです。企業の人事側が、「このESは同じ大学の先輩のESを真似して書いた」と思ってしまうことを否定できません。
unistyleを活用して、大学にとらわれず様々な内定者ESを参考にすることでそうした事態を防げます!
最後に
知る人ぞ知るといったプラントエンジニアリング業界ですが、実はスーパーゼネコンにも劣らないとても大きくて環境のよい業界なんですね!
少しでもプラントエンジニアリング業界に興味を持っていただけたら幸いです^^
プラントエンジニアリング業界への志望理由についてはこちらを参考にしてください↓↓
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